半年で着付け師デビューが目指せる着付け塾
きもの美人道*ひとみです。
先日、アカデミー賞で、松たか子さんが、
「アナと雪の女王」を熱唱し、その歌唱力もさりながら、
レッドカーペットでの着物姿が話題になりました。
せっかくですから、松たか子さんの着物から、
着物の基礎知識をちょこっとお勉強しちゃいましょう。
難しいと言われる着物の世界。
リアルにお見本があると、記憶に残りますよ!
1. 疋田(ひった)総絞り
疋田(ひった)
疋田とは絞りの一つの手法です。
四隅をつまんで、糸でくくり、防染し、
染めたら外す、
細かな手仕事で熟練の技が必要です。
出来上がった模様は、
子鹿の背の斑点に似ています。
成人式のとき、
疋田総絞りの帯揚げを
された経験がある方も多いでしょう。
仕上がった生地は、しぼが立つので、
その分余計に布が必要になります。
手間暇かけた手仕事ですので、
それなりにお値段も高価なものとなります。
最近は、プリント柄で「絞り」もありますが、
本物とは、全く違うものなのです。
2. 高麗屋の家紋〜四つ花菱
松たか子さんと言えば、
歌舞伎の名家・高麗屋さんのお嬢様でもあります。
四つ花菱
高麗屋さんの家紋は、「四つ花菱」で、
松さんの訪問着には、
この四つ花菱の家紋がありました。
池や沼に浮かぶ水草だそうです。
菱というと、
ひな祭りの菱餅が思い浮かんじゃう私です。^^
菱形って、女性性を表すので、
ひな祭りに菱餅を食べるのは、
意味があることだそうですよ。
ここぞ、というときに、
自分のアイデンティティーが示せるのって、
大事なことですね。
3. 比翼仕立ての訪問着
比翼(ひよく)
松たか子さんの訪問着は、
比翼仕立て、とありました。
比翼・または比翼仕立てとは、
「布を部分的に重ねて仕立てる」
ことをさします。
重ねる部分とは、
衿、袖口、振り、裾回し、衽(おくみ)
です。
「重ねる」ことは
「お祝いを重ねる」に通じるので、
比翼仕立てにすることは、
おめでたさが増し、華やかになります。
松たか子さんの比翼は「白」で、
とっても上品ですね。
私も、総絞りとはいきませんが、
比翼仕立ての訪問着を持っております。
比翼は2色です。
袖口から覗く色目、
歩くとちらっと見える裾周りの比翼は、
十二単とまではいかずとも、
ゴージャス感があってとても好きです。
<補足>
留袖は本来、「お祝いを重ねる」意から、
白羽二重(はぶたえ)の着物を
黒い着物の下に重ねて着用しました。
これを「本重ね」と言います。
しかし、着物を二枚一度に着るのは、
なかなか難しいですし、
第一に重たいです。
なので、現在は「比翼仕立て」が主流で、
「本重ね」は滅多に見なくなりました。
4. まとめ
このたびの松たか子さんのお着物姿は、
*疋田総絞り
*ご実家の家紋である「四つ花菱」の縫いとり
*比翼仕立て
がポイントでした。
これは、きっと見た目以上に
重たかったのではないでしょうか?
付け加えれば、
帯はお母様から譲られたもので、
以前にも閉められていたそうですね。
とても素敵でした!
また、帯揚げをほとんど見せない着付けも
一本筋が通った感じがあります。
松さんの着物姿は、
海外からの評判も高かったのは嬉しいですね。
日頃より和装に親しむ梨園出身の松さんの、
プライスレスな美しさを、
単純に、地味とか派手とかではなく、
日本人なら真っ先に汲み取れるような教育が
なされてないと恥ずかしいな、と思いました。
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